Aurora blog

バイオインフォ・バイオテクノロジーにまつわる情報

2020-01-01から1年間の記事一覧

空間オミクス解析②:解析用ライブラリについて

空間オミクス解析のライブラリ シングルセル解析が普及した背景はChromiumの様な商用の解析装置がリリースされたことに加えて、SeuratやScanpyなどの解析用ライブラリが整備されたことが大きい。これらのライブラリに付属するマニュアルを追いかけさえすれば…

空間オミクス解析①:テクノロジーの概要と現状

空間オミクスとは 組織中の場所と対応づいたオミクスデータを取得する手法。古くはレーザーマイクロダイセクションで組織断片をくり抜き、そこからオミクスデータを取得するような手間のかかる方法が一般的であったが、最近はより短時間で多くの領域からデー…

シングルセル解析③:ダブレット推定手法について

ダブレットとは シングルセル解析で現在主流になりつつあるのは10x Genomics Chromiumのようなドロップレットベースの方法である。この方法はドロップレットの中で磁気ビーズと細胞を封入し、mRNAの逆転写・増幅を行う (下図b)。ビーズにはポリT領域と、ビー…

シングルセル解析②:CITEseqデータの正規化手法について

CITEseqとは シングルセルトランスクリプトームと表面タンパク質発現量*1を同一細胞から計測する技術*2。概要としては以下のような手法である。 オリゴDNAを付与した抗体を使って細胞を標識。このオリゴDNAにはポリA配列*3、標的タンパク毎にに異なるバーコ…

Local BLASTの結果からLCA (Lowest common ancestor)で由来生物種を推定する

きっかけ 最近仕事でLocal BLASTの結果をパースして配列が由来する生物種を推定する機会があったのだが、なかなか思うような機能を実装したツールが存在していなかった*1ので作ってみた。 準備 以下のインストール・ダウンロードを行う NCBI BLAST+ BLAST da…

シングルセル解析①: reticulateでRとPythonを両方使う

RとPythonどちらを使う? 10x GenomicsのChromiumが販売され始めてからシングルセル解析は身近なツールになり多くの研究者に使われるようになっています*1。 それに伴い解析のためのツールも続々と開発されており、誰でもデータを利用しようと思えばできる環…

Common Workflow Language (CWL)で解析の再現性を高める

Common Workflow Language (CWL) とは バイオインフォマティクスでは複数のツールを組み合わせたパイプラインを構築してデータを処理することが多いと思います。例えばRNA-seq解析であれば以下のような流れが考えられます。 FASTQファイルの準備 (bcl2fastq)…

このブログの目的

自己紹介 博士 (工学) オミクスデータを利用した生物学研究が私の学生時代の一貫するテーマです。 大学院では発生生物学・微生物生態学・遺伝学などの研究課題に携わり、多様なデータを扱ってきました。 新しいタイプのデータを生み出すバイオテクノロジーの…